僕は今日 リンゴの木を植える

思いついた物事とその記録

人工衛星

スプートニクの恋人
 
この文字の並びを僕は今まで何度も見た気がする。いや、実際はそんなに何度も見てないのかもしれない。ただどこで、この文字の並びを何度も見たのかをよく思い出せない。やはり本屋さんだろうか。行く先々の本屋さんの目立つところに並べられているのを何度も目にしたのだろうか。だとすればなかなか注目すべきタイトルだろう。
 
しかしそれは違った。
 
僕がこのタイトルを何度も見たのはとある人の部屋の本棚であることを思い出した。博士の愛した数式の隣に、この本は不安定な斜めを保っていた。そしてその上には小さなティンカーベルがいた。
溺れそうになりながら(実際は溺れていたと思う)真っ白な頭で何度もこの文字の羅列を見ていた気がする。
 
スプートニク、なんだか変な言葉、何語だろうか、造語だろうか。ふと気になって調べてみるとこれはロシア語だった。英語ではないと思っていたが、しかしその恋人とはなんだ。
 
人工衛星
スプートニク計画。
 
恋人とはなんだ。なにごとだ。文字とは不思議である。「恋人とはなんだ」と書いてみた。疑問のつもりが、なんだか頑固な親父が言っているように頭の中で再生されて、なにごとだ、と付け加えたくなった。なにごとだ。
 
この文字の羅列を見る度にどこか不思議な気分になるのは、文字が記憶を呼び起こすからだろうか。甘ったるいような、苦いような、酸っぱいような記憶。けだるいようなふわふわとした記憶。
 
なにごとだ。